ちあきなおみ 大全集

ちあきなおみ ちあきなおみ 大全集歌詞
1.喝采

作詞:吉田旺
作曲:中村泰士

いつものように幕が開き
恋の歌うたうわたしに
届いた報らせは 黒いふちどりがありました
あれは三年前 止めるアナタ駅に残し
動き始めた汽車に ひとり飛び乗った
ひなびた町の昼下がり
教会のまえにたたずみ
喪服のわたしは 祈る言葉さえ 失くしてた

つたがからまる白い壁
細いかげ長く落として
ひとりのわたしは こぼす涙さえ忘れてた
暗い待合室 話すひともないわたしの
耳に私のうたが 通りすぎてゆく
いつものように幕が開く
降りそそぐライトのその中
それでもわたしは 今日も恋の歌 うたってる


2.劇場

作詞:吉田旺
作曲:中村泰士

昨日 あの町はなれてきた
明日は どこへ行くのやら
そして船からバスに乗りかえて
私は夢を追いかける
サイン求める声は 私をよけて
スターのもとへ 走ってゆく
どさ回りと 人に呼ばれる
旅は 続くの

風に 私の顔がなびく
二色刷りのポスター
そしてバスから汽車に乗りついで
二度目の春が過ぎました
スターめざした人の涙が床に
黒くしみつく ああステージ
きっとあける 私の名前
飾った 劇場を


3.雨に濡れた慕情

作詞:吉田旺
作曲:鈴木淳

雨の降る夜は 何故か逢いたくて
濡れた舗道をひとり あてもなく歩く
すきでわかれた あの人の
胸でもう一度 甘えてみたい
行きすぎる傘に あの人の影を
知らず知らずにさがす 雨の街角

ひえたくちびるが 想い出させるの
傘にかくした夜の 別れのくちづけ
今は涙も かれはてた
頬に黒髪 からみつくだけ
ふりしきる雨に このまま抱かれて
あゝ死んでしまいたい 落葉のように

すきでわかれた あの人の
胸でもう一度 甘えてみたい
行きすぎる傘に あの人の影を
知らず知らずにさがす 雨の街角
知らず知らずにさがす 雨の街角


4.夜間飛行

作詞:吉田旺
作曲:中村泰士

最後の最後まで
恋は私を苦しめた
指をつきぬけ涙が あふれそうよ
そして 今……
翼に身をゆだね 私は旅立つ
遥か雲の下に 広がる街あかり
あそこで愛されて あそこで別れた
このままずっと どこへもおりず
この夜の果て
二度と帰らないの そして帰らないの

あなたは気付くでしょう
いつか私のまごころに
だけど哀しい目をして 探さないで
もういいの……
不幸を身にまとい 異国へ旅立つ
女のかなしみは 夜空の星になり
きらきら消えてゆく 私は泣かない
このままずっと どこへもおりず
この空の果て
二度と帰らないの そして帰らないの


5.円舞曲(わるつ)

作詞:阿久悠
作曲:川口真

誰かが 円舞曲(わるつ)を 踊っています
幸せあふれた 二人です
私は飲めない お酒を飲んで
泣きたい気持ちを おさえます
海鳴り 漁火 海辺のホテル
一人に悲しい ワルツの調べ

別れの手紙を 綴っています
乱れた文字です ごめんなさい
あれこれ理由を 並べてみても
切ない心は 変わりません
海鳴り 漁火 海辺のホテル
一人に悲しい ワルツの調べ

明日もこうして 泊まっています
涙が枯れたら 帰ります
知らない誰かと 踊ってみたり
楽しくなるよう 努めます
海鳴り 漁火 海辺のホテル
一人に悲しい ワルツの調べ


6.かなしみ模様

作詞:阿久悠
作曲:川口真

あなたがそこに その場所にいるなら
ただそれだけで 悲しみは消える……
フランス映画 真似ているみたいな
小粋な別れしたけれど 悔やんでいる
一人が似合う人もいるけど
私には似合いそうもない
ゆらゆらゆれる こころの中に
涙が描くかなしみ模様

あれからわずか 幾日もたたずに
このさびしさは 闇のようにつつんでいる
明日が好きな人もいるけど
私には今日しかわからない
ゆらゆらゆれる こころの中に
涙が描くかなしみ模様

あなたはどこに あなたはどこに
涙が描くかなしみ模様


7.五番街のマリーへ

作詞:阿久悠
作曲:都倉俊一

五番街へ行ったならば マリーの家へ行き
どんなくらししているのか 見て来てほしい
五番街は古い町で 昔からの人が
きっと住んでいると思う たずねてほしい
マリーという娘と 遠い昔にくらし
悲しい思いをさせた それだけが気がかり
五番街でうわさをきいて
もしも嫁に行って
今がとてもしあわせなら
寄らずにほしい

五番街へ行ったならば マリーの家へ行き
どんなくらししているのか 見て来てほしい
五番街で住んだ頃は 長い髪をしてた
可愛いマリー 今はどうかしらせてほしい
マリーという娘と 遠い昔にくらし
悲しい思いをさせた それだけが気がかり
五番街は近いけれど
とても遠いところ
悪いけれどそんな思い
察してほしい


8.愛のくらし

作詞:トミー・チルドレン・アルフレッド・ハウゼ・加藤登紀子
作曲:トミー・チルドレン・アルフレッド・ハウゼ・加藤登紀子

この両手に 花をかかえて
あの日あなたの部屋を たずねた
窓をあけた 日ざしの中で
あなたは 笑って迎えた
手をつなぎ ほほ寄せて
くり返す 愛のくらし
花は枯れて 冬がきても
すてきな日々は 続いていた
愛をかたる 言葉よりも
吹き過ぎる風の中で
求めあう ぬくもりが
愛の変らぬしるし

人は幾度も 愛に出遇い
終りのない愛を 信じた
ある日気がつく 愛の終りに
人は幾度も 泣いた
手をつなぎ ほほ寄せて
くり返す 愛のくらし
花は咲いて 春がきても
すてきな日々は 戻ってこない
愛をかたる 言葉よりも
風にこごえた この両手に
あなたのからだの ぬくもりが
今も消えずに残る


9.あなたのすべてを

作詞:佐々木勉
作曲:佐々木勉

名前も知らない 貴方と私
だのに不思議ね 胸がときめく
恋はこうして 生まれるものなのね
おしえて欲しい 貴方のすべてを
今宵一人で歌う 貴方への歌

初めて会った あの日から
私の心を はなれない
これが本当の 恋というものかしら
おしえて欲しい 貴方のすべてを
今宵一人で想う 貴方だけのこと

今度逢えるのは いつの日かしら
あなたと会った この店で
明日も私は そっとあなたを待つの
おしえて欲しい 貴方のすべてを
今宵一人で歌う 貴方への歌

貴方への愛 貴方への愛……


10.花吹雪

作詞:吉田旺
作曲:都倉俊一

明日あなたは 卒業してひとり
遠くの町へ 帰ってしまう
駅うらの小さな店
わたしもこの店をしめて
生まれた町へ 戻って行くわ
花吹雪が風に……風に踊る……
わたしのことなんか 忘れるのよ
どうかそんな風に見ないで
笑い顔をみせて

いつかあなたに ぶたれたこの頬の
きれいな痛み 大事にします
この町に来てよかった
いやなこともあったけれど
あなたとのこと しあわせだった
花吹雪が風に……風に踊る……
わたしのことなんか 忘れるのよ
そしていつも話してくれた
夢を追いかけて


11.四つのお願い

作詞:白鳥朝詠
作曲:鈴木淳

たとえば私が 恋を 恋をするなら
四つのお願い 聞いて 聞いてほしいの
一つ やさしく 愛して
二つ わがまま 言わせて
三つ さみしく させないで
四つ 誰にも 秘密にしてネ
四つのお願い 聞いて 聞いてくれたら
あなたに私は 夢中 恋をしちゃうわ

それからあなたが 恋を 恋をするなら
四つのお願い 聞いて 聞いてほしいの
一つ やさしく キスして
二つ こっそり 教えて
三つ あなたの 好きなこと
四つ そのあと わたしにしてネ
四つのお願い 聞いて 聞いてくれたら
あなたに私は 夢中 恋をしちゃうわ

一つ やさしく いつでも
二つ ふたりは しあわせ
三つ いつしか 結ばれて
四つ あなたと わたしは一つ
四つのお願い 聞いて 聞いてくれたら
あなたに私は 夢中 恋をしちゃうわ


12.X+Y=LOVE

作詞:白鳥朝詠
作曲:鈴木淳

X それはあなた Y それは私
プラス イコール ラヴ
ラヴ ラヴ アイ ラヴ ユー
愛しあっていれば 二人はいつもプラス
お別れなんて いやよ
マイナスは いらないわ
XプラスY XプラスY
イコール ラヴ イコール ラヴ
ラヴ ラヴ アイ ラヴ ユー

X それはあなた Y それは私
プラス イコール ラヴ
ラヴ ラヴ アイ ラヴ ユー
信じあっていれば 二人はいつもプラス
嘘をついたら いやよ
さみしくて 泣いちゃうわ
XプラスY XプラスY
イコール ラヴ イコール ラヴ
ラヴ ラヴ アイ ラヴ ユー

恋の夢があれば 二人はいつもプラス
キッスを忘れちゃ いやよ
いつまでも 甘えたい
XプラスY XプラスY
イコール ラヴ イコール ラヴ
ラヴ ラヴ アイ ラヴ ユー


13.無駄な抵抗やめましょう

作詞:なかにし礼
作曲:鈴木淳

嘘をついても だめなのね
下手なごまかし 効かないわ
無駄な抵抗 やめましょう
あなたに身柄を 預けましょう
そうよ あなたの勝ちよ
負けて私は 幸せよ
意地をはってた 今日までが
私はとっても 恥ずかしい

顔を伏せても もうおそい
何処へ逃げても つかまるわ
無駄な抵抗 やめましょう
あなたに運命 任せましょう
そうよ あなたのものよ
爪の先から 心まで
あなたの自由に されるのが
私はほんとに 嬉しいの

どうぞあなたの すきに
恋の戦さの 捕虜だから
左目ひらいて 右とじて
私はひそかに 待っている


14.ルージュ

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

口をきくのが 上手(うま)くなりました
どんな 酔いしれた人にでも
口をきくのが うまくなりました
ルージュ ひくたびにわかります
あの人追いかけて この町へ着いた頃は
まだ ルージュは ただひとつ うす桜
あの人追いかけてくり返す人違い
いつか泣き慣れて
口をきくのが 上手(うま)くなりました
ルージュ ひくたびにわかります

つくり笑いが 上手(うま)くなりました
心 なじめない人にでも
つくり笑いが うまくなりました
ルージュ ひくたびにわかります
生まれた時から 渡り鳥も渡る気で
翼をつくろうことも しるまいに
気がつきゃ鏡も 忘れかけたうす桜
おかしな色と笑う
つくり笑いが 上手(うま)くなりました
ルージュ ひくたびにわかります
生まれた時から 渡り鳥も渡る気で
翼をつくろうことも しるまいに
気がつきゃ鏡も 忘れかけたうす桜
おかしな色と笑う
口をきくのが 上手(うま)くなりました
ルージュ ひくたびにわかります


15.わかって下さい

作詞:因幡晃
作曲:因幡晃

貴方の愛した人の名前は
あの夏の日と共に
忘れたでしょう
いつも言われた
二人の影には愛がみえると
忘れたつもりでも
思い出すのね
町で貴方に似た人を
見かけるとふりむいてしまう
悲しいけれど
そこには愛は見えない

これから淋しい秋です
時折手紙を書きます
涙で文字がにじんでいたなら
わかって下さい

私の二十才のお祝いに
くれた金の指輪は
今も光っています
二人でそろえた
黄色いティーカップ
今もあるかしら

これから淋しい秋です
時折手紙を書きます
涙で文字がにじんでいたなら
わかって下さい

涙で文字がにじんでいたなら
わかって下さい


16.氷の世界

作詞:井上陽水
作曲:井上陽水

窓の外では リンゴ売り
声をからして リンゴ売り
きっと誰かがふざけて リンゴ売りの
真似をしているだけなんだろう

僕のテレビは 寒さで
画期的な 色になり
とても醜いあの子を グッと
魅力的な娘にしてすぐ消えた
今年の寒さは 記録的なもの
こごえてしまうよ
オー 毎日 吹雪 吹雪 氷の世界

誰か 指切りしようよ
僕と 指切りしようよ
軽い嘘でもいいから 今日は一日
はりつめた気持でいたい

小指が 僕にからんで
動きが とれなくなれば
みんな笑ってくれるし 僕も
そんなに悪い気はしないはずだよ
流れて行くのは 時間だけなのか
涙だけなのか
オー 毎日 吹雪 吹雪 氷の世界

人を傷つけたいな
誰か傷つけたいな
だけど出来ない理由は やっぱり
ただ 自分が恐いだけなんだな
そのやさしさを 秘かに
胸に いだいてる人は
いつかノーベル賞でも 貰うつもりで
頑張ってるんじゃないのか

ふるえているのは 寒さのせいだろ
恐いんじゃないね
オー 毎日 吹雪 吹雪 氷の世界


17.あまぐも

作詞:河島英五
作曲:河島英五

雨雲がとんでゆくわと
女はつぶやいた
窓辺にもたれかかって
もう不幸じゃないと
言いたかったのさ
ふり向けない
できれば少しほほえんで
もっとよく あなたを見たかったのに
ふり向けない
あなたにだけは
見られたくない この涙を

男は引き寄せる
くちびるあわせたい
だけど そんな自分の
ずるさに気づき
おびえてしまった
立ちつくす
やさしい言葉のひとつも
かけるつもりでいたのに
立ちつくす
男はその胸に
言いようのない にがさだきしめて

女は愛にきずついた心
男は愛をきずつけた心
胸にだきしめ 悲しい雨雲は
風にちぎれて とんでゆく


18.夜へ急ぐ人

作詞:友川かずき
作曲:友川かずき

夜へ急ぐ人が居りゃ
その肩 止める人も居る
黙って 過ぎる人が居りゃ
笑って 見てる人も居る
かんかん照りの昼は怖い
正体あらわす夜も怖い
燃える恋程 脆(もろ)い恋
あたしの心の深い闇の中から
おいで おいで
おいでをする人 あんた誰

「ネオンの海に目を凝(こ)らしていたら
波間にうごめく影があった
小舟のように あっけないそれらの影は
やがて哀しい女の群と重なり
無数の故郷(ふるさと)と言う 涙をはらんで
逝(い)った」

にぎやかな 夜の街角で
かなわぬ夢の別れいくつ
勇気で終わる 恋もありゃ
臆病で始まる恋もある
かんかん照りの昼は怖い
正体あらわす夜も怖い
燃える恋程 脆(もろ)い恋
あたしの心の深い闇の中から
おいで おいで
おいでをする人 あんた誰


19.矢切の渡し

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

「つれて逃げてよ…」
「ついておいでよ…」
夕ぐれの雨が降る 矢切りの渡し
親のこころに そむいてまでも
恋に生きたい 二人です

「見すてないでね…」
「捨てはしないよ…」
北風が泣いて吹く 矢切りの渡し
噂かなしい 柴又すてて
舟にまかせる さだめです

「どこへ行くのよ…」
「知らぬ土地だよ…」
揺れながら艪が咽ぶ 矢切りの渡し
息を殺して 身を寄せながら
明日へ漕ぎだす 別れです


20.さだめ川

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

明日のゆくえ さがしても
この眼に見えぬ さだめ川
あなたの愛の 流れるままに
ゆるした夜は 雨でした

二人の恋を 憎むよな
うわさが辛い さだめ川
故郷の町を 逃れる旅は
いずこの山が また海か

すべてを水に ながしては
生きて行けない さだめ川
あなたの愛に 次ぎの世までも
ついて行きたい 私です


21.酒場川

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

あなたの憎くさと いとしさが
からだのなかを 流れます
子犬のように 捨てられた
女の恋の みじめさを
酒と泣きたい 酒場川

男のこころも 読めないで
おぼれるだけの 恋でした
死ぬより辛い 裏切りを
怨んでみても 無駄なのね
涙こぼれる 酒場川

私と暮らした アパートで
あなたは誰と いるのでしょう
グラスの酒に 酔いしれて
心の傷を 洗いたい
ネオン悲しい 酒場川


22.ちあきの夢は夜ひらく

作詞:西沢爽
作曲:曾根幸明

恋の遊びの 夜が明けて
白い車は 消えたけど
消えぬ あなたの おもかげに
夢は夜ひらく

来ないあなたと 知りながら
二つコーヒー とりました
雨の夜更けの 喫茶店
夢は夜ひらく

髪を染めても ただうつろ
爪を染めても ただうつろ
夜の鏡に 涙ぐむ
夢は夜ひらく

愛を知らない 女より
たとえ泣いても 悔んでも
ひとを愛した 思い出に
夢は夜ひらく

きっとなれます しあわせに
そんなカードの 占いの
嘘を信じて 待ちましょう
夢は夜ひらく 夢は夜ひらく


23.アカシヤの雨がやむとき

作詞:水木かおる
作曲:藤原秀行

アカシヤの雨に打たれて
このまま死んでしまいたい
夜が明ける 日がのぼる
朝の光のその中で
冷たくなった私を見つけて
あのひとは 涙を流してくれるでしょうか

アカシヤの雨に泣いてる
切ない胸はわかるまい
想い出の ペンダント
白い真珠のこの肌で
淋しく今日も暖めてるのに
あのひとは 冷たい眼をして何処かへ消えた

アカシヤの雨がやむとき
青空さして鳩がとぶ
むらさきの はねのいろ
それはベンチの片隅で
冷たくなった私の脱けがら
あのひとを 探して遙かに飛び立つ影よ


24.星の流れに

作詞:清水みのる
作曲:利根一郎

星の流れに 身を占って
どこをねぐらの 今日の宿
すさむ心で 枯れはてた
こんな女に 誰がした

煙草ふかして 口笛ふいて
あてもない夜の さすらいに
人は見返る わが身は細る
町の灯影の わびしさよ
こんな女に 誰がした

飢えて今ごろ 妹はどこに
一目逢いたい お母さん
ルージュ哀しや 唇かめば
闇の夜風も 泣いて吹く
こんな女に 誰がした


25.カスバの女

作詞:大高ひさを
作曲:久我山明

涙じゃないのよ 浮気な雨に
ちょっぴり この頬 ぬらしただけさ
ここは地の果て アルジェリア
どうせカスバの夜に咲く
酒場の女の うす情け

唄ってあげましょ わたしでよけりゃ
セーヌのたそがれ まぶたの都
花はマロニエ シャンゼリゼ
赤い風車の 踊り子の
今更かえらぬ 身の上を

あなたもわたしも 買われた命
恋してみたとて 一夜の火花
明日はチュニスか モロッコか
泣いて手を振る うしろかげ
外人部隊の 白い服


26.夜霧よ今夜も有難う

作詞:浜口庫之助
作曲:浜口庫之助

しのび会う恋を
つつむ夜霧よ
知っているのか
ふたりの仲を
晴れて会える
その日まで
かくしておくれ 夜霧 夜霧
僕等はいつも
そっと云うのさ
夜霧よ今夜も有難う

夜更けの街に
うるむ夜霧よ
知っているのか
別れのつらさ
いつか二人で
つかむ幸せ
祈っておくれ 夜霧 夜霧
僕等はいつも
そっと云うのさ
夜霧よ今夜も有難う
夜霧よ今夜も有難う


27.愛の旅路を

作詞:山口あかり
作曲:藤本卓也

死ぬも生きるも あなたひとりと
恋に賭けたい 命ひとすじ
砂を噛むよに暮した 悲しい過去を
いとしその手で 暖めてほしい
だから待つの
愛の旅路を あなたとあなたと歩く

とげにさされて 傷に哭(な)いても
なんで捨てよう 愛のこの夢
たとえ戯れの恋でも 信じていたい
抜けがらのあなたを 抱きしめてつよく
いまはいいの
愛の旅路を あなたとあなたと歩く

暗い夜空に 星がまたたく
朝がくるまで 愛をともして
いつかわたしの胸にも あなたが燃えて
星空あおいで 幸せを唄う
夢をみるの
愛の旅路を あなたとあなたと歩く


28.花と蝶

作詞:川内康範
作曲:彩木雅夫

花が女か 男が蝶か
蝶のくちづけ うけながら
花が散るとき 蝶が死ぬ
そんな恋する 女になりたい

花が咲くとき 蝶が飛ぶ
蝶が死ぬとき 花が散る
春を競って あでやかに
どちらも どちらも 命を賭ける

花のいのちは 短いけれど
蝶のいのちも はかなくて
花が散るとき 蝶が死ぬ
そんな恋する 二人になりたい


29.逢わずに愛して

作詞:川内康範
作曲:彩木雅夫

涙枯れても 夢よ枯れるな
二度と咲かない 花だけど
夢の 夢のかけらを
せめて せめてこころに
あゝ永久に ちりばめ
逢わずに愛して いついつまでも

逢えば別れが つらくて泣ける
恋のねぐらは どこにある
鳥に 鳥になりたい
そっと そっとこころで
あゝ 紅の命を
逢わずに愛して いついつまでも

はなればなれの 運命におかれ
愛がなおさら つよくなる
何が 何があっても
すがり すがり生きぬく
あゝ 死にはしないわ
逢わずに愛して いついつまでも


30.別れたあとで

作詞:白鳥朝詠
作曲:鈴木淳

「あそびにしよう」と あなたが言った
「そうね」と私も 笑って別れた
それで終った 恋なのに
なんで今更 涙が出るの
愛していると わかったことが
遅すぎたのね 別れたあとじゃ

「浮気でいいね」と あなたが言った
「いいわ」と私は 抱かれて燃えた
それで終った 夜なのに
なんで今更 悩んで泣くの
死ぬほど好きと わかったことが
遅すぎたのね 別れたあとじゃ

「逢うのはよそう」と あなたが言った
だまって私は 涙を拭いた
それで終った 朝なのに
なんで今更 あきらめないの
命をかけて 愛することが
遅すぎたのね 別れたあとじゃ


31.ゴンドラの唄

作詞:吉井勇
作曲:中山晋平

いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の明日は 無いものを

いのち短し 恋せよ乙女
いざ手をとりて かの船に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰も 来ぬものを

いのち短し 恋せよ乙女
黒髪の色 あせぬ間に
心の炎 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを


32.北帰行

作詞:宇多博
作曲:宇多博

窓は 夜露に濡れて
都 すでに遠のく
北へ帰る 旅人ひとり
涙 流れてやまず

夢は むなしく消えて
今日も 闇をさすろう
遠き想い はかなき希望(のぞみ)
恩愛(おんあい) 我を去りぬ

今は黙(もく)して行かん
なにを 又語るべき
さらば祖国 愛(いと)しき人よ
明日は いずこの町か


33.惜別の唄

作詞:島崎藤村
作曲:藤江英輔

遠き別れに たえかねて
この高殿に 登るかな
悲しむなかれ 我が友よ
旅の衣を ととのえよ

別れといえば 昔より
この人の世の 常なるを
流るる水を 眺むれば
夢恥かしき 涙かな

君がさやけき 瞳(め)のいろも
君紅(くれない)の 唇も
君が緑の 黒髪も
またいつか見ん この別れ


34.新宿情話

作詞:猪又良
作曲:船村徹

新宿は 西口の
間口五尺 ぽん太の店が
とうとうつぶれて 泣いてるヒロ子
三畳一間で よかったら
ついておいでよ ぼくんちに

東京は 広いから
親も故郷も 知らない人が
ヒロ子の他にも いっぱいいるさ
泣くのはいいけど 泣いたなら
ぼくの笑顔が 見えなかろ

これからは どうなるの
赤いランプの 最終電車
しょんぼり見送る ヒロ子の涙
風呂敷包を 中にして
つなぐ手と手に 霧がふる


35.柿の木坂の家

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

春には 柿の花が咲き
秋には 柿の実が熟れる
柿の木坂は 駅まで三里
思いだすなァ ふる里のヨ
乗合バスの 悲しい別れ

春には 青いめじろ追い
秋には 赤いとんぼとり
柿の木坂で 遊んだ昔
懐しいなア しみじみとヨ
こころに返る 幼い夢が

春くりゃ 偲ぶ馬の市
秋くりゃ 恋し村祭り
柿の木坂の あの娘の家よ
逢ってみたいなァ 今も尚ヨ
機織りながら 暮していてか


36.王将

作詞:西條八十
作曲:船村徹

吹けば飛ぶよな 将棋の駒に
賭けた命を 笑わば笑え
うまれ浪花の 八百八橋
月も知ってる 俺らの意気地

あの手この手の 思案を胸に
やぶれ長屋で 今年も暮れた
愚痴も言わずに 女房の小春
つくる笑顔が いじらしい

明日は東京に 出て行くからは
なにがなんでも 勝たねばならぬ
空に灯がつく 通天閣に
おれの闘志が また燃える


37.別れの一本杉

作詞:高野公男
作曲:船村徹

泣けた 泣けた
こらえきれずに 泣けたっけ
あの娘と別れた 哀しさに
山のかけすも 鳴いていた
一本杉の 石の地蔵さんのよ
村はずれ

遠い 遠い
想い出しても 遠い空
必ず東京へ ついたなら
便りおくれと 云った娘
りんごのような 赤い頬っぺたのよ
あの泪

呼んで 呼んで
そっと月夜にゃ 呼んでみた
嫁にもゆかずに この俺の
帰りひたすら 待っている
あの娘はいくつ とうに二十はよ
過ぎたろに